こんにちは。えたばりゅです。
今回は、てっさ、てっちりの名前の由来について触れていこうと思います。この料理名のちょっと恐ろしくも納得してしまう理由とは・・・
ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
てっさ・てっちりに隠された恐ろしすぎる、それでいて至極納得のその料理名の由来とは
高級鍋といえば、ブランド黒毛和牛を使ったお鍋や、海鮮系で言えばクエやハモ辺りがそのラインナップとして挙げられますが、やはり忘れてはいけないのがフグ鍋。お刺身で高級系と言えばヒラメやアワビなどが有名どころですが、これまたフグもやはり高級魚としてラインナップされております。
このように高級魚扱いされるフグですが、その中でもとりわけ至高の域ともいえるのがトラフグ。
その上品で淡白な味わいは、食通をうならせて止まないほどの味を誇っておりますよね。
ただ、ふぐ料理は高級料理でも有名ですが、もう一つ。忘れてはいけないとても有名な特徴がありますよね。それは、毒、それも猛毒と形容できる致死性の高いテトロドトキシンというたんぱく毒を有していること。これはフグの王者、トラフグも例外ではありません。
こういったことから、可食部と不可食部が厳密に法令で分けられていて、他の魚と違いフグを捌くのには専門の免許が必要。これを破ると法令に基づいて罰せられてしまいます。
トラフグの有毒部位
毒を含んでいる部位はフグの種類によって違うのですが、トラフグの有毒部位は主に
- 脳
- 血液
- 内臓
- 卵巣
などの箇所。これらを確実に除去する必要があるんですね。特に激しく誘惑してくるのが、卵巣や内臓の一部である肝臓、いわゆる肝の部分。卵巣は他の魚種では煮付けたりすると美味しく、フグの卵巣も一見すると鯛の子や助宗の子を思わせる、いかにも美味しそうなフォルム。そして捌くと大振りでブルルンとした肝がお目見えし、いかにも
おいしいですよ。お鍋に入れないんですか？
とばかりに激しく誘惑してくるんですね。
もちろん絶対に乗ってはいけない誘惑ですが。この誘惑に乗ってしまうと、法令云々よりも命に関わるので絶対に食べないようにしましょう。
また可食部である精巣も要注意。精巣は白子と呼ばれ、タラの白子とともにフグの白子も料理は珍重されておりますが、稀にフグの中には精巣に隠れて卵巣がある、いわゆる両性ふぐもいて、こういったものは一見すると通常の白子であるため、包丁を入れない限りこれを見分けることはできません。
このように、有毒部位を取り除くだけでも困難なうえ、フグの種類によっては、全身が有毒部位で食すること自体出来ない種もおり、目が肥えていない限り種の特定はなかなか困難。そしてこういった恐ろしいフェイントもありますので、絶対にフグの調理は専門の方におまかせしましょうね。
関西でふぐ刺し、ふぐちりが「てっさ」、「てっちり」と呼ばれるその由来
では今回の本題に参りましょう。
ふぐ刺しやふぐちりがてっさ、てっちりと呼ばれるその理由。それは上記で挙げさせていただいた、フグが持つ特徴、毒に関係があるんですね。フグ毒の恐ろしさは先ほどご紹介させていただいた通りですが、関西ではフグをテッポウと呼んでいるんです。
特に関西圏の卸売り市場では、トラフグのことをテッポウを略してテツと呼ぶことが多く、この名前で取引されることも多々あるんです。
フグがテッポウと呼ばれるようになったのはフグ毒の恐ろしさに準えて
どちらも当たると死亡するから
ということなんですね。
こういったことから
- ふぐ刺しはテッポウ刺し、すなわちテツ刺しから「てっさ」
- ふぐちりはテッポウちり鍋、すなわち「てっちり」
というわけなんです。いかがでしょう。何とも恐ろしいですが、至極納得の料理名ですよね。
ふぐ刺し（てっちり）が薄造りで提供される理由
ここでおまけ的雑学を一つ。ふぐ刺しはそのほとんどが薄造り、それも下の器が透けて見えるほどの薄さに切られて提供されることがほとんど。大輪の花のように飾られて提供されるてっさは美しいですよね。ただ、なんで通常の厚さ、いわゆる平造りで提供されないのか。このあたりは少し気になるところではないでしょうか。
これはフグの身の性質にその理由があるんです。
フグの身は極端に脂肪分が少なく、その身はほぼほぼが筋繊維。
なので通常の平造りだと、歯ごたえがありすぎて噛み切れなくて、かなり食べづらいんです。例えるのであれば、赤身部位のローストビーフを超厚切りでほおばるようなもの。こうイメージすると確かに噛み切るのは至難の業という気がしますよね。
最後に
いかがだったでしょう。
今回はふぐ刺し、ふぐちりが関西でてっさ、てっちりと呼ばれるその恐ろしくも至極納得できるその理由をご紹介してみました。いやはや、なんとも的を得ているといいますか、的確な別名っていう気がしますよね。ではでは、今回はこのあたりで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。